続編が来るのを諦めていた人も多いのではないだろうか。
まさか俺も来るとは思っていなかったので大喜びである。
『28年後…』の紹介&レビューをしていく。
作品概要
『28年後…』は『28日後…』・『28週後…』に続く28シリーズの最新作。
監督:ダニー・ボイル、脚本:アレックス・ガーランドで3部作として企画されている。
ジャンルはホラー。
人々を狂暴化させるウィルスにより壊滅状態になったイギリスを舞台としたサバイバルが、主人公である少年スパイクを中心に描かれる。
キャスト
- アルフィー・ウィリアムズ:スパイク役
- アーロン・テイラー=ジョンソン:ジェイミー役
- ジョディー・カマー:アイラ役
- レイフ・ファインズ:ケルソン先生役
見どころ紹介(観てない人向け)
まず前提として、以前のシリーズを観ないでこの『28年後…』から観ても全く問題ない。
設定のみ引き継いでいるだけなので、なんとなく「危険なレイジ・ウィルスなるものが蔓延して28年経った」くらいの認識で大丈夫。
その以前のシリーズで猛威をふるったレイジ・ウィルスの脅威は今作でも健在である。
もちろん狂暴化した感染者たちは全力疾走してきてスリル満点。
さらに進化した感染者も登場し、恐怖のバリエーションも増加。
彼らは独自の生態系を築いており、リーダーにより統率されている。
ゴア描写は以前のシリーズ同様多めで、容赦のない描写が続く。
苦手な人は注意が必要だ。
エンタメ要素の強化と作品の壮大化がなされている。(ハリウッド大作っぽくなっている)
ヒューマンドラマ色も強く、感動的なシーンも多い。
これにより以前のシリーズに比べアクが弱まり、観やすくなっている。
ただこれは諸刃の剣というか、大衆が観やすくなった分従来のシリーズにあった強烈な個性・独自性は薄れてしまっている。(これまでのシリーズの要素は継承しつつも、テイストが大分変化している)
自然・ロケーションが非常に美しい。
過去2作は都市が舞台だったのに対して、今作は森や平原が舞台。
豊かな自然が綺麗な映像で楽しめるのも素晴らしい点の1つだ。
ネタバレありレビュー(観た人向け)
なかなか面白かったが、前2作と比べるとちょっと微妙な感を否めない。
しかし3部作構成なので続編次第では傑作になるかもしれない。
個人的に1番がっかりしたのは大作指向・ヒューマンドラマ色が強まったことで以前のシリーズにあったエグみや独自性が後退してしまったことだ。
例えば『28日後…』での徹底的な人間の邪悪さ、『28週後…』の圧倒的な救いのなさ。
これらの際立った個性はなくなってしまっている。
しかしその分シンプルに感動できるシーンも増えており、少年スパイクと母アイラの死別シーンなどはとても良かったし、このシリーズの新たなファンも増えるだろう。
感染者の種類が増えたのはいいアイデアだと思った。
主にスローロー、駿足タイプ、巨大なアルファが出てくるが、それぞれ個性的で面白かった。
特にアルファは圧巻で、感染者の枠ではMVPだろう。
危険な本土から島に帰るときの全力追いかけっこはまさにハラハラドキドキのスリル満点で最高、その後のバス内?での攻防戦も楽しめた。
この映画、主人公のスパイクの成長物語でもあり、ロードムービーでもある。
映画前半ではジェイミーとスパイクによるサバイバルメインパート、後半は母アイルと本土でのロードムービー兼サバイバルパートといった感じだ。
前半ではスパイクが島での風習で適した年齢になったことから、危険な本土に行って帰ってくるという試練を与えられる。
主に弓矢を使ってのサバイバルが繰り広げられるが、俺としてはこちらのパートの方がまさに28シリーズといった感じで面白かった。
後半ではスパイクが、本土にいる医者に病気がちな母アイルを診てもらうためにともに向かう。
こちらが比較的ゆっくりしたパートでロードムービー然としたパートだ。
スパイクと母アイラの絆を象徴するエピソードがたくさん挿入される。
焚火のシーンなどはなかなかほっこりしていい。
2人で寝ているときにスローローが近づいてくるが、母は強しというか病気がちなのに容赦なく殴り殺しているのは笑った。
そうこうしているうちに感染者たちに追い込まれる2人だったが、そこで本土に漂流してしまった軍人エリックに助けられる。
なんとこのエリック、ゾンビ映画ではまさに死にそうな感じのキャラだが、その印象のとおりアルファに殺されて逆にびっくりした。
彼が殺されるシーンの前に衝撃の感染者による出産という恐ろしい事態が起こる。
この子供は最終的にスパイクにより島に引き取られるのだが、これが続編にどう絡んでくるのか楽しみだ。
感染者の子供を守りながらのアルファとの追いかけっこののち、ケルソン先生が登場する。
この辺から中弛みというか、映画の失速を感じた。
母親アイラはもう末期の癌で助からない、そこでケルソン先生は安楽死をさせることにする。
ここからの母親死亡までの展開が異様に早く、しかも吹き矢でするというシュールさから正直ギャグに見えてしまった。
なんだかなぁ…といった感じだ。
母の死を乗り越えたスパイクは、終盤島に戻らずに本土でサバイバルしていた。
そこにまさかの怪しさ全開の神父(名前はジミー?)と仲間たちが助っ人として登場する。
正直序盤の助かってしまった子供、ジェイミーだと思っていたのだがまさかのチャラチャラした神父の彼がそうだったという。
そこから誰も予想しなかったであろう、チャンバラというかなんというか、神父率いるジャージ集団が謎の殺陣技で感染者たちを一掃する。
これはマジでなくてもよかったと思う。
世界観をぶち壊しているというか…少し続編が心配になった。
このシリーズ、音楽は通してよかったのだが今作も素晴らしい。
特に予告で使われていた「BOOTS」が流れたのはかっこよく、映像も相まってめちゃくちゃ痺れた。
まとめ 個人的評価70点
総合的にみてなかなか面白い映画だったが、前2作にはどうしても劣る。
魅力的な部分も多いのだが、微妙な点も散見される感じだ。
ただ続編が来たら是非観に行きたいと思っている。
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