Netflixで楽しみにしていた『インサイド』が配信されたので紹介&レビューをしたい。
『インサイド』あらすじ、概要
美術品泥棒ネモは、高価な絵画を盗み出すためにニューヨークのペントハウスに侵入していた。
しかし、セキュリティの誤作動によりそのまま閉じ込められてしまう。
ウィレム・デフォー主演、ヴァシリス・カツーピス監督作品。
主なキャスト
- ウィレム・デフォー
- ジーン・ベルボーツ
- エリザ・スチュイック
『インサイド』見どころ紹介(まだ観てない人向け)
この映画、まずスリラーとして非常によくできている。
ワンシチュエーションでシンプルな内容ながらヒリヒリしていて、観ていて飽きない。
何故飽きないかというと監督の演出や脚本の力はもちろん、名優ウィレム・デフォーのずば抜けた演技力も大きいだろう。
この映画、ほぼ主演の彼しか出てこない。
つまり彼の演技のみで映画1本成立させなくてはならないわけだが、全く問題なく成立しているのである。
流石としか言いようがない。
ウィレム・デフォー演じる主人公ネモニューヨークのペントハウスに閉じ込められてしまうわけだが、そうなった場合人はどうなってしまうのかがリアルに描かれている。
もしも自分がこの状況に陥ったら…考えるだけでゾッとする。
このリアルなシチュエーション構成、ウィレム・デフォーの演技力などが合わさって素晴らしいスリラーとして成り立っているのだと思う。
単純にスリラーとしても楽しめるが、アート・哲学的要素がプラスされているので深みのある映画としても楽しめるはずだ。
ただどちらかというと変わったアート映画という色が強い作品なので、派手な映画が観たいという人には向かないだろう。
『インサイド』レビュー(ネタバレあり・観た人向け)
とても面白く、良質な映画だった。
あらゆる要素が素晴らしく隙が無い。
見どころ紹介でも触れたが、まっさきに感じることはウィレム・デフォーの演技の完璧さだ。
人は孤独で過酷な極限の状況におかれたときどうなるか…狂っていく様を見事に演じているので、感情移入しながら観ることができた。
ウィレム・デフォーのすごさを実感した次第だ。
ウィレム・デフォー演じるネモの見た目も映画が進むにつれてどんどん頬はこけ、ガリガリになっていくのも説得力があって良かった。
サバイバル部分もあらゆる手を使い、生き延びる道を模索するのでとても面白い。
水が止められているなかどうやって水を飲むか、食料をどうするのか、脱出するには…あの手この手を使う二モ。
火災報知器を作動させて気づいてもらうというアイデアにはその手があったか!と感心した。
結局それは気づかれずに終わり意味がなかったわけだが…。
ネモによるサバイバルにより、偉人たちが創りだした高級で金になる絵画たちもただの使い捨てのガラクタとなる。
命の危機に瀕した状況では名だたるアートも、ただの意味のない道具でしかないというのも皮肉めいていて面白いと思った。
ジャングルなどの大自然でサバイバルする映画は数あれど、お洒落なペントハウスでサバイバルする映画はこれだけじゃなかろうか…この特殊さも魅力的だ。
またこの映画に込められたアート・哲学、宗教的な側面もこの映画を傑作たらしめているポイントの一つ。
意味ありげに置かれた12個のナット、魚を食べるネモなど宗教をバックグラウンドとしたメタファーが散りばめられているので、それらを考えるのも楽しい。
音楽もこの映画にとてもマッチしている。
音数が少なくシンプルながらも、絶妙な味付けで色を添えているのだ。
そして最後にエンディングで流れるRadioheadの『Pyramid Song』…この名曲が流されることにより、とても余韻の残るエンディングとなっている。
まとめ 個人的評価80点
ワンシチュエーションで舞台はほとんど変わらない、役者もほぼ主演1人、派手な演出もなし。
それでもこれだけ面白い映画がつくれるのだと驚嘆した。
派手なエンターテイメント・娯楽映画を求めている人には向かないが、スリラーや考察好き・哲学的な作品が好みだという人には刺さる作品だと思う。
ぜひ観てみてほしい。
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